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埼玉ブルース第十回

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埼玉ブルース第十回

 

誰が言ったか知らないが、訪ねてみれば確かに感じる魅力のご当地をさすらう「埼玉ブルース」

今回は埼玉県発にして現在日本国内で唯一となったおもしろ消しゴム製造メーカーの株式会社イワコーさん
オトナ社会科見学して来ました!

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実は取材だけでなく、一般の方にも工場見学の門戸を広げていらっしゃるイワコーさん
そのホームページに掲載されている丁寧な案内図に従って、首都圏新都市鉄道つくばエクスプレスは
八潮駅から歩くこと約13分閑静な住宅街を見回すと、そこへ溶け込むように粛然と佇む立派な社屋が見えて来ました。その外観をカメラにバッチリ収めはしたのですが、地元の方まで激写してしまったため、
えんぴつによるイメージ画像をお楽しみください(消しゴムを扱われる会社さんだけに)。

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周囲には第二工場もあり、その盛況振りになんだか緊張さえ覚えます。
お招きに従って事務所へ上がらせて頂くと、早速その社名の代名詞とも言えるおもしろ消しゴム
ずらりとお出迎え。最初期から続く野菜などの食べ物を模したものから風物詩がテーマになったセットまで、
その数はなんと300種類以上!取り揃えの豊富さに、飽くのも忘れて見惚れます。

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事前のお約束で工場を見学させて頂けると伺っていたのですが、
今回はなんとお忙しい合間を縫ってご創業者の岩沢さんがご案内してくださることに。
「社長御自らにお願い出来るなんて光栄です」と申し上げると、「私はもう社長じゃないんですよ」
いたずらっぽい微笑みを浮かべられて、そう仰った。

実は岩沢さん、この会社の創業者ながら、御齢77歳を迎えられたのを機に
社長からなんとただの一社員にジョブ・チェンジなさったそうな。

よく社長を退任してもっと偉くなる話は耳にしますが、普通の社員に戻るなんてほかでは
聞いたことがありません。にわかには信じ難い事実に思わず目を白黒させて居る間にも、
宅急便の受け取りや電話応対などを軽妙なフット・ワークでこなされ、時にはほかの社員さんとため口で談笑も。
この会社があるのは、いつでも社員の力あればこそとお話しになるご様子は、
前時代的なワンマンとはまったく無縁な純真な少年そのものでした。

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そもそもは東京の文具店に勤めていらしたと仰る岩沢さん。
どうして消しゴムは、必ず四角でなければいけないのか?という素朴な疑問ながら誰もが
見過ごしがちな視点をヒントに、このおもしろ消しゴムを思い付かれたそう。

岩沢さんが会社を興されたのは、今から遡ること46年前の昭和43年。
当時は、既に筋消しやスーパーカー消しゴムといった先駆けが絶大な人気を誇ってはいたものの、
どれも販売元側から「消しゴム」として出された商品ではなく、ほとんど文字を消すことは出来なかった。

ノートを汚すことなくしっかり文字が消せて、なおかつ可愛らしいイワコー製品はじわじわとその人気を伸ばし、
たゆまぬ努力とさらなる挑戦で、現在も国内外の子供達のみならず幅広い世代を魅了し続けています。

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その当時には、大人数がひしめき合っていたという工場内も、今ではごく少人数の方のみで
取り仕切られているようでした。これらの機械があらかじめセットした金型に合わせて、
のちに「おもしろ消しゴム」となるひとつひとつのパーツを目にも留まらぬ速さで作って行きます。

『幅広い世代を魅了』するのも納得の細部にまでこだわり抜いたパーツを仕上げるには、
当然ながら不要な部分が出て来ますが、それらもすべて粉砕機にかけることで消しゴムの一部となるのだとか。
流石第一線で活躍を続ける企業さん、日本のみならず地球に優しい……

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しかし、昔に比べて人手が要らなくなったのかと問われれば、決してそんなことはないのです。
そうして製造されたパーツが近隣へ運ばれ、

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さらに様々な手を借りて組み立てられた消しゴムは、それを待ち侘びる子供達を楽しませるべく
全国津々浦々の販売店へと出荷されて行きます。

ここには写っていませんが、社内には活気ある女性が多くいらっしゃって、
マン・パワーならぬ、まさにウーマン・パワーを感じました。

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それと関係があるのかどうか(?)、何処を見渡しても社内のなかはとってもキレイでビックリ。
そんな感想を率直に吐露したところ、「いつもならもっとキレイなんですよ」とのお言葉に二度ビックリ!

よく部屋の乱れは心の乱れとは言いますが、そこは国内唯一を誇る企業さん。平素からの心構えが違います。

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折角なのでご厚意に甘えて、その組み立てを体験させて頂くことに。

この工場には個人さん・団体さんなど大勢の方が見学に訪れるそう。そこで同じように消しゴムのパーツを渡しても
子供には簡単なものでさえ、大人では完成出来ない場合も多いとのお言葉に、恐る恐る手を伸ばすと、、、

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試行錯誤すること数分……なんとか出来上がったのは、この右上にあるハリネズミくんでした!

ほかにも写真に収まっているヘリコプターや誕生日ケーキを組み立てさせて頂きましたが、どれにも絶えさず苦戦を強いられると同時に、その隅々にまで徹底的にリアリティを追求した完成度に感嘆が漏れること仕切り。
これは決して筆者が不器用だからというばかりではないはずです。

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「どんなに小さなことでもいいから、自分が夢中になって打ち込める『なにか』を見付けること」

そう仰る岩沢さんに、ご自身にとっての座右の銘を見せて頂きました。こうして書くことによって、
その揺るがない意志の手綱から手を離すことなく、しっかりと握り続けることが出来るのだとお教えくださいました。

ひとたび目標と掲げたことには達成するまでとことん向き合うという岩沢さんの実行術は、
目標を書いては張り出して、毎日眺めること。そうすることで自分の為すべき事柄に思いを馳せることが出来るばかりでなく、常に意欲を燃やし続けられるのだとか。

それが達成出来たらまた次の目標と、その張り紙は一社員となった現在でも途切れたことはないと仰る、
その鉄の信念こそが現在もイワコーさんをトップ企業たらしめんとする理由とお見受け致しました。

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こちらでは工場の見学も受け付けているほかに、人気商品の販売もしていたりします。

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ひととおり拝見して回って来た後で、「これは満を持した新作なんだよ!」と太っ腹にも
新作のサンプルを見せて頂きました。なんと、この取材をした前日の夜に上がって来たばかりの、
まさに出来立てほやほやなのだそう!

この季節の生モノは、一晩越せば心配なもの。どんなにリアルでも気を揉まずに済むのは、
これが消しゴムならではです。

「この写真をお撮りしてもいいですか?」とおずおず伺えば、
我が社の仕事は唯一無二だという誇りがありますから、何でも撮影してくれていいですよという
大変頼もしいお答えを賜ったところで、パシャリ。

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ほかの文房具の製造を経て、現在では消しゴム製造メーカーとしてその名を馳せる株式会社イワコーさん
その創業当時は岩沢工業だったものの、その社名をイワコーと改めてから、さらに親しんでもらえるように。

「ものつくりっていうのはね、本当に奥が深くて楽しいものですよ」

何度もそう仰る岩沢さん。現在は息子さんに会社を引き継がれているものの、その意欲はまだまだ健在。
かつての社長時代と現在でなにか変わられたことはありますか?とお伺いしたところ、むしろ現在の方が
タイムカードを押さなくちゃいけない分早く出勤しています苦笑いなさっていらした。

誰もが一度は使ったことがあるだろうおもしろ消しゴム、実は筆者も小学生の時に愛用していました。
時を経て今、それを作っているのがこんなお茶目な人だったという事実に、
あの頃よりもさらに胸を高鳴らせざるを得ませんでした。

【今回取材させて頂いた株式会社イワコー様】

(※ 工場の見学にはホームページの専用フォームかお電話から事前のご予約が必要です)